OZで祝うクリスマス  ブルース・エドワーズ牧師

まずはじめに、これをお読みになる日本人の方々のために、「OZ」とは何のことなのか説明しましょう。皆さんの中には、ルイス・キャロルの童話『不思議の 国のアリス』をご存じの方も多いことでしょう。主人公のかわいらしい少女アリスは、夢の中で、気がつくと「OZ」という「under world(=闇の世界 [直訳すると"下の世界"])」にいたのでした。それは、大きなものが小さくて、小さなものが大きいという正反対な国、喜びの国、地上のどこにもないよう な国でした。
 オーストラリアは、地球の下の方に位置していることから、いつしか「The Land Down Under(=下の国)」と呼ばれるようになり、後に、有名なアリスの物語にちなんで 「OZ」という文字が付け足されました。そして今日、この正反対と喜びの国――地上のどこにもないような国は、しばしば「The Land of OZ(=OZの国)」と呼ばれています。(注:ここでの「OZ」は、「Australia」の「A」と「s」の2文字をくずしたもの)。
 さて、これがこの記事とどんな関係があるのでしょうか。考えてみてください。もしもキリストがベツレヘムではなく、オーストラリアで生まれていたら、「世界最初のクリスマス」はどんなクリスマスになっていたでしょうか。
 第一に、季節は同じだったはずです。昔からクリスマス(つまりキリストの誕生日)は、12月に祝うのが普通です。12月といえば、北半球では冬です。と ころが聖書によると、羊飼いたちは、夜通し羊の群れの番をしています。これは夏にしかしないことだといいます。ご存じの通り、オーストラリアの12月は夏 です。ですから生まれたばかりのキリストは、おむつと袖なしのシャツだけで快適に過ごせたものと思われます。ほどなくして、キリストの誕生を祝うために、 遠くから博士たちが来訪しました。その光景は、クリスマスの日の典型的なオーストラリア人家庭の光景に似ていなくもありません――この日には、近くや遠く に住む親せきが一堂に会し、半世紀前に英国から移り住んだ移民の両親の伝統を受け継いで、熱々のポテトや肉料理、野菜、グレービーソースといったクリスマ スランチを囲んで楽しむのです。もっと現代的なところでは、オージー式バーベキューも定番です。日陰でも気温が約40度になるというのは、ご存じのことで しょう。
 キリストは12歳の時、両親に内証で宮に行き、教師たちと神学的な会話のやりとりをします。しかしキリストがオーストラリアに住んでいたならば、クリス マスの食事(ランチ)の後、裏庭で草野球ならぬ「草クリケット」に興じ、大人たちがアボカドの木陰で"のびて"昼寝をしている間に、ボディーボードを抱え て自転車でビーチに出かけていたかもしれません。
 今年のクリスマスにも、こんな光景がオーストラリア全国で見られることでしょう。
 もちろんこれはすべて想像にすぎません。
 わたしがこの話を用いて言おうとしているのは、こういうことです――。
 まず、読者の皆さんの中には、今年、これまで慣れ親しんできたクリスマスとは違うクリスマスを体験しようとしている方もいらっしゃることでしょう。国を 離れ、家族や友達も近くにいないかもしれません。季節も冬ではなく夏です。中には、この1年間のうちに生活が激変してしまった方がいるかもしれません。悲 劇に襲われたり、職を失ったり、今年の初めごろに抱いていた希望や夢が砕け散ったり、いまだに実現できずにいる方がいるかもしれません。 そのような状況にあっては、クリスマスが本来の「喜ばしい時期」になりそうもなく、むしろ孤独感や絶望感を抱き、あるいは欲求不満を募らせているかもしれ ません。けれども元気を出してください――地球上のどの国の教会にもキリストの家族は存在しているのですから。キリストは、ユダヤの地に生まれましたが、 たとえオーストラリアで生まれていたとしても、日本で生まれていたとしても、いっこうに構わなかったのです。皆さんが今年のクリスマス時期にどこにいよう とも、どうぞキリストの誕生を祝う家族の輪に加わり、またそれによって、現状を克服し、新たな希望とともに未来に向かって歩むための助けと力を得るようお 勧めします。
 わたしが言いたいことの2つ目は、クリスマスをどこでどうやってお祝いするのかよりも、なぜぞれをお祝いするのかということの方が大切だということで す。クリスマスをお祝いする理由。それはキリストにほかなりません。キリストなくしては、あなたのクリスマスは、本当のクリスマスではありません。聖書に は、2005年前の最初のクリスマスの出来事だけでなく、その理由についても書かれています。神様は、人間のために最初のクリスマスをおつくりになり、老 若男女、すべての人々(これから生まれる者も含めて)のために、素晴らしい贈物を下さいました。その贈物とは、イエス・キリストの形をとった神様ご自身 だったのです。
 神様の贈物には、わたしたち皆のための愛、喜び、平安、そして未来への希望に満ちていました。ひと言でいうと、聖書ではこれらを「救い」「福音」と呼ん でいます。わたしたちがこれらを手に入れられるように、キリストは十字架の上での死によって究極の代価を支払ってくださいました。わたしたちは、ただ、わ たしたちがそのような愛に預かるに価する存在であることを認めさえすればいいのです。聖書では、これを「悔い改めと罪の告白」と呼んでいます。そして、 ちょうど友達からプレゼントをもらうように、信仰によって神様の愛を心の中に受け入れることです。そうすれば皆さんは、ある現実世界を発見することになる のです。それは、夢の中にしかない「不思議の国のアリス」のような世界ではありません。「下の世界」とは正反対の「上の世界」です――そこで皆さんは天国 の力を手に入れて、地上にとどまりながらも、天国で永遠の命を得るという約束とともに生きることができるのです。
 「OZ」で祝うクリスマスが、あなたの人生で最高のクリスマスとなりますように。
 ハッピー・クリスマス!